猫の高血圧性網膜症

慢性腎臓病で治療中の猫が、眼の奥が赤く見えるとの主訴で紹介来院されました。

両眼とも視覚はみられ、虹彩萎縮(虹彩の加齢性変化)があったものの、瞳孔の動きに異常は認めませんでした。眼圧も正常でした。

眼底検査にて両眼ともに眼底出血を認めました。

血圧測定で収縮期血圧が186mmHgと高血圧を認めました。

猫の高血圧性網膜症

猫の全身性高血圧に伴う網膜の症状を「高血圧性網膜症」と言います。

全身性高血圧の原因は様々(腎臓病・糖尿病・甲状腺機能亢進症など・・・)ですが、眼は高血圧に伴う障害を受けやすい臓器の一つです(他には腎臓、脳、心臓など)。
 本症例は眼底出血のみでしたが、重症例では網膜剥離や出血に伴う緑内障などもみられます。

高血圧性網膜症は早期発見・早期治療にて改善できる可能性は高くなります。
 しかし、障害が強い場合や症状が現れていた期間が長い場合は、視覚喪失を伴う可能性もあります。

本疾患は早期発見・早期治療が大事です!!
 特に腎臓疾患を持っている子や高齢猫は要注意です!!

2021年05月03日