犬の脂肪織炎

皮膚の潰瘍を繰り返していて、ステロイド治療に反応があったが止めると再発するとの主訴で当院に来院されました。

当院にてまずは感染症に伴うものを疑い、細菌培養検査による菌の同定を行いましたが、検出されませんでした。抗生剤治療中も潰瘍部は不安定で、他の部分に皮下腫瘤も出来始めた為、病変部の切除および病理検査を実施しました。

病理の結果「化膿性肉芽腫性脂肪織炎」という結果でした。

皮膚病変:左腰領域の皮膚に潰瘍および皮下腫瘤が観察されます

消毒後の病変:背側面から撮影

腫瘍の可能性も考慮し、病変を拡大切除しました

縫合して終了

犬の無菌性結節性脂肪織炎

本疾患の発症要因は不明とされていますが、免疫介在性疾患の一つとされています。体幹を主体に多数の皮下結節を形成し、病後期には自壊を伴う事もあります。ミニチュア・ダックスフンドに好発傾向がありますが、他の犬種にも発症はみられます。

本例は無菌性結節性脂肪織炎が慢性化し、排膿および肉芽形成を起こしていた為、上記のような診断になりました。

治療

免疫に関わる疾患の為、治療の主体はステロイド治療および免疫抑制薬による治療となります。両治療を並行して行い、最終的にステロイドを漸減・終了し再発しないか経過をみていきます。

2023年02月03日