胸にしこりが出来ているという主訴で当院に来院されました。
右側第2乳頭部に腫瘍が観察され、レントゲン検査で肺転移などの明かな転移を認めなかった為、乳腺腫瘍の摘出手術を行いました。
猫の乳腺腫瘍は悪性の可能性が高いため、根治を目的とした右乳腺全摘出を選択しました。
術野を確保し、画像中心に乳腺腫瘍があるのが確認できます
切開ラインをイメージしやすいようにペンで切除範囲を描きます
右側全乳腺切除後
皮膚縫合をして終了です
猫の乳腺腫瘍
猫の乳腺腫瘍の85~95%は悪性であり、良性の乳腺腫瘍は稀とされています。発症年齢は10-11歳がピークとされています。未避妊猫の発症率が知られ、生後12カ月齢までに避妊手術を行った猫では発症率が低下するとされています。
治療
治療の第一選択は外科手術となります。悪性度が高いため、片側乳腺あるいは両側乳腺の全摘出が選択されます。当院では患者の年齢や転移状態、全身状態を加味し部分摘出を選択する事もあります。
また、転移がみられる際には化学療法も適応となります。