犬のチェリーアイ(瞬膜腺脱出)

目頭に赤い腫瘤が出てきて、数か所の病院で整復処置してもらったものの直ぐに出てきてしまうとの主訴で当院へ来院されました。

来院時、右眼の内眼角に瞬膜腺脱出が観察されました。

用手にて脱出した瞬膜腺を整復し、その後も再発無く安定していました。

チェリーアイ:瞬膜腺脱出

瞬膜とは内眼角(目頭)に存在する3つ目の瞼で「第三眼瞼」とも言われています。瞬膜の根元に瞬膜腺という涙液の分泌組織が存在します。

瞬膜腺脱出は瞬膜腺と根元の周辺組織との接着不良により起こるとされており、接着してないが為に瞬膜が外反し、瞬膜腺が露出してしまった状態を言います。更には慢性露出によって瞬膜腺が腫れあがり、より戻りづらくなります。

若齢に比較的多く、中高齢での瞬膜腺脱出は腫瘍などの他疾患との関連もある為注意が必要です。

治療

瞬膜腺は露出が続くと将来的に乾燥性角結膜炎(涙液量低下による角結膜の障害)になりやすくなるため放置は厳禁です。

先ずは瞬膜腺の用手整復を実施します。用手整復は外反した瞬膜を整復する為、脱出した瞬膜腺を押し込むだけでは整復できません。外反した瞬膜を整復するのでコツがいります。

用手整復でも戻らない場合は、外科的整復を検討します。手術方法には「ポケット法」「アンカーリング法」など様々な方法があります。手術方法が多いという事は、それだけ再発率も高いものになるので治療に時間を要する事もあります。

2022年01月11日