猫の停留精巣(潜在精巣、片玉、陰睾)

去勢希望で来院された患者さんで、術前検査の為に来院したところ左側の停留精巣を確認しました。

去勢手術にて陰嚢内にある精巣と皮下に存在した精巣を取り除きました。

左の皮下に睾丸を確認

皮下の陰睾を切皮にて露出された状態

猫の停留精巣(別名:潜在精巣、片玉、陰睾など)

停留精巣とは陰嚢内(精巣の袋)に精巣が存在しない状態を言います。約2カ月齢程で陰嚢内に精巣が存在しない場合に診断されます。
 両側よりも片側で出る事が多く、鼠径部(太ももの付け根)の皮下または腹腔内に存在します。発生頻度は1%程と言われ、稀な症状です。

陰嚢内に存在しない精巣は正常な発育はせず、特に腹腔内の場合は精子形成能力は顕著に欠如します。内科的な治療方法はなく、外科による切除が選択されます。

経験的に猫の停留精巣は皮下にある事が多いですが、精巣自体が小さい為、皮下に埋もれている精巣を見つけるのに苦慮する場合が多々あります。
 術前には、必ず陰嚢内に精巣があるかを確認して手術に臨む必要があり、去勢していない猫ちゃんは陰嚢の膨らみや触ってみて、片方しか存在しない時はご相談ください。

2021年07月14日